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三段論法の罠にご注意

今日のネタは、三段論法について。

最近「NHKeテレの高校講座」を録画して視聴しています。先日、三段論法(推論の一手法)についての講座があり、これが実に学びになりかつ、悪質商法で悪用される手法でもあるので、要点を紹介します。

  1. 正しい三段論法の例
      1. 鳥は卵を生む
      2. ペンギンは鳥である
      3. だから、ペンギンは卵を生む

このように、1段目で全体のことを論じ、2段目で対象物(ペンギン)が全体の一部であることを論じています。そして、3段目で「全体に当てはまることは一部にも当てはまる」ことを示すと言うものです。

ところが、誤った三段論法はこの逆の使い方をします。

  1. 誤った三段論法の例
      1. ペンギンは空を飛べない
      2. ペンギンは鳥
      3. だから、鳥は空を飛べない

1段目と2段目は正しいのに、3段目は間違っています。1段目が限定した範囲を論じ、2段目は1段目より大きな範囲を論じています。両者は定義(視点)が異なるのに、3段目ではこれを一緒に論じてしまうと言うものです。これを「論理の飛躍」と呼び、日常生活では頻繁に観られます。例えば、

      1. Aは犯罪を犯した悪者
      2. Aは警察官である
      3. だから、警察官はみんな悪者

この三段論法の悪用例は、悪質商法にも頻繁に見られます。例えば、

      1. 外国為替証拠金取引は簡単だが売買時期判断が難しい
      2. ある投資家Bが独自ノウハウで自動売買ソフトを開発し、これを用いて1億円稼いだ
      3. このソフトを100万円で買えば、すぐに誰でも簡単に1億円稼げる

1段目は事実です。2段目は作り話かもしれませんが問題はそこではなく、3段目の「論理の飛躍」です。この誤り(騙しのポイント)に気付けば、この悪質商法には引っかかりません。しかし遺憾なことですが、騙されて多額のお金を失う人もいらっしゃいます。

小さな範囲から大きな範囲を語る話しには、論理の飛躍が見え隠れします。注意しましょう。

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。