今日のネタは、小規模賃貸経営は個人経営と法人経営のどちらが得かという話。
最近、複数の友人から似たような相談を受けました。「相続した実家や、所有する区分所有マンションを賃貸に出す場合、個人経営と法人経営のどちらが得か?」というもの。結論を先に言うと「法人化は課税所得が概ね1,000万円以上ならメリットあり。あとは個別事情による」です。皆さんもご自身のケースに当てはめて検討してみることをオススメします。
1.前提条件
①課税所得が概ね1,000万円超であること。法人化すると税率優遇措置がある反面、新たな手間や費用(簿記、法人住民税等)が発生するので、この金額が目安になります。
②副業が可能であること。例えば公務員は副業禁止ですし、民間企業でも雇用契約書に「副業は届出が必要」とあれば、届出すると出世に影響する危惧があります。法人化すると会社にバレる可能性あります。
③空室リスクの少ない物件であること。例えば首都圏中心部の優良物件ならリスクは少ないです。過疎化地域や空室が多い地域は賃貸経営に苦労する危惧があります。賃貸経営よりも売却が得策かも。
2.法人化のメリット
①税率が低い(課税所得が900万円超で、法人税率<所得税率)
②節税対策になる(事務所家賃や自動車維持費等が経費計上できる)
③損失の繰越期間が長い(法人は10年>個人は3年)
④相続税対策や贈与税対策になる(諸条件あり)
3.法人化のデメリット
①法人の設立コスト(合同会社は約15万円、別途資本金も)
②法人の維持コスト(税理士費用+法人住民税で約27万円/年、法人税、事業税)
③売却税率が高い(特に所有期間5年超の物件は、個人の方が税率大幅に低い)
④条件を満たさないと相続税対策や贈与税対策にならない
4.まとめ
そもそも法人化の目的は、会社組織化して儲けること。だから政府もそれに税率優遇措置を設けています。つまり、小規模に賃貸経営するなら法人化のメリットが出ないことになるので、十分検討のうえ判断しましょう。