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危機管理

三菱電機の風土改革を願う

三菱電機が揺れています。

同社は6月30日、長崎製作所が製造する鉄道車両用空調装置の一部に、購入仕様書の記載とは異なる検査方法や検査の不実施があったことを発表。その後風土改革を進める決意を示すと共に、社長の引責辞任を発表しました。

事の起こりは6月上旬、同所の検査工程の自動化/IT化投資のため現場調査を行っていて不正に気づいたとのこと。つまり、同所検査部門が30年以上にわたり隠蔽し、3回にわたる社内点検でも隠しとおしてきた不正行為が、別部門により暴かれた格好です。(この部分は個人の推測。自動化/IT化投資は一般的に、専門の別部隊が行います。)

6月28日には他機種での不正検査も把握したものの、このままでは翌29日の株主総会を乗り切れないと考えたのでしょう。株主総会翌日の30日に発表したようです。(ここも個人の推測)

人はミスをしたり嘘をついたりします。これは人のサガです。しかしそれが他人に迷惑や損害を与える内容であれば別問題。だから会社のような組織は、人のミスや嘘をカバーする仕組み仕掛けを導入しています。製造会社にとって検査部門はその最後の砦ですが、検査部門に携わるのも人間なので、悪魔の誘惑に負けそうになることもあるでしょう。だからこそ強い意志を持つ責任者が必要になるのです。つまりこうした隠蔽による品質問題は、従業員の問題よりも経営の責任と捉えるべきです。

不正検査の問題は同社に限らず、ものづくりに携わる全ての会社が陥りやすい問題です。特に同社は、明治維新を支えた名門グループの一員。これからも同社従業員が誇りを持って働けるよう、今度こそ風土改革を成し遂げてくれることを願っています。

https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2021/0630-b.pdf