カテゴリー
資格

宅建試験問題解説(R4問2)

今日は宅建試験の過去問解説。令和4年度の問2です。

【問 2】 相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1. 被相続人の生前においては、相続人は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができる。
2. 家庭裁判所への相続放棄の申述は、被相続人の生前には行うことができない。
3. 相続人が遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けると、当該相続人は、被相続人の遺産を相続する権利を失う。
4. 相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合、当該相続人には遺留分がない。

解説 民法(相続)
1.◯ 正しい。
法第1049条(遺留分の放棄)第1項:相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2.◯ 正しい。相続開始前に相続放棄はできません。
法第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)第1項:相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
第2項:相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
3.× 誤り。ひっかけ問題。遺留分と相続権は意味が違います。遺留分の放棄しても、被相続人が遺言等を残さなければ、相続人になることができます。
4.◯ 正しい。兄弟姉妹は遺留分の帰属から除外されています。遺留分があるのは、配偶者、直系卑属、直系尊属です。
法第1042条(遺留分の帰属及びその割合)第1項:兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第1項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
 一 直系尊属のみが相続人である場合3分の1
 二 前号に掲げる場合以外の場合 2分の1
第2項:相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第900条(法定相続分)及び第901条(代襲相続人の相続分)の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

という訳で正解は3です。

余談ですが、「兄弟姉妹」は法律関係では「けいていしまい」と読みます。

相続からは毎年のように出題されます。また都市部においては、相続財産に占める不動産の割合は大きくなりがち。宅建士になった後も必要な知識なので、しっかり勉強しておきましょう。

※2022/11/4 20:05、誤字を訂正しました。×ていけいしまい→◯けいていしまい

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。