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宅建試験問題解説(R3第2回問1)

令和5年度の宅建試験日が10月15日に決定。今年度受験するSNS友達を応援するため、引き続き過去問解説を続けます。今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第2回の問1です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)

【問 1】 次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、正しいものはどれか。
(判決文)
私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げない。

  1.  権利に対する違法な侵害に対抗して法律に定める手続きに寄らずに自力救済することは、その必要の限度を超えない範囲内であれば、事情のいかんにかかわらず許される。
  2.  建物賃貸借契約終了後に当該建物内に家財などの残置物がある場合には、賃貸人の権利に対する違法な侵害であり、賃貸人は賃借人の同意の有無にかかわらず、原則として裁判を行わずに当該残置物を建物内から撤去することができる。
  3.  建物賃貸借契約の賃借人が賃料を1年分以上滞納した場合には、賃貸人の権利を著しく侵害するため、原則として裁判を行わずに、賃貸人は賃借人の同意なく当該建物の鍵とシリンダーを交換して建物内に入れないようにすることができる。
  4.  裁判を行なっていては認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合には、その必要の限度を超えない範囲内で例外的に私力の行使が許される。

解説 民法(判決文)

  1.  × 誤り。本肢の「事情のいかんにかかわらず許される」は、判決文の「やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ…」に反しています。
  2.  × 誤り。本肢の「原則として裁判を行わずに…」は、判決文の「法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ」に反しています。我が国は法治国家であり、原則として裁判を行わずに私力を行使することはできません。
  3.  × 誤り。本肢も「原則として裁判を行わずに…」とあり、選択肢2と同じ理由で誤りです。
  4.  ◯ 正しい。判決文と同じ内容です。

という訳で、正解は4です。

本問はサービス問題。判決文は最高裁の昭和40年12月7日判決で、宅建業界では有名な判例。それを知らなくても、問題文をよく読めば容易に正答できます。日本は法治国家であり、相手が違法行為をしたという理由で、こちらも違法な反撃をすること(私力の行使)は原則禁じられています。

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。