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宅建試験問題解説(R3第2回問5)

今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第2回の問5です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)

【問 5】 AがBの代理人として行った行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、いずれの行為もBの追認はないものとし、令和3年7月1日以降になされたものとする。

  1.  AがBの代理人として第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方Cがその目的を知っていたとしても、AC間の法律行為の効果はBに帰属する。
  2.  BがAに代理権を与えていないにもかかわらず代理権を与えた旨をCに表示し、Aが当該代理権の範囲内の行為をした場合、CがAに代理権がない事を知っていたとしても、Bはその責任を負わなければならない。
  3.  AがBから何ら代理権を与えられていないにもかかわらずBの代理人と詐称してCとの間で法律行為をし、CがAにBの代理権があると信じた場合でも、原則としてその法律行為の効果はBに帰属しない。
  4.  BがAに与えた代理権が消滅した後にAが行った代理権の範囲内の行為について、相手方Cが過失によって代理権消滅の事実を知らなかった場合でも、Bはその責任を負わなければならない。

解説 民法(代理)

  1.  × 誤り。これは、最高裁判例(昭和42年4月20日第一小法廷判決・民集21巻3号697頁)を改正民法に反映したもの。代理権の範囲内であっても、自己又は第三者の利益を図る目的で行った行為は無権代理行為と見なされる。
    民法第107条(代理権の濫用):代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
  2.  × 誤り。Aは代理権があると嘘をついていることをCは知っていたのですから、Bは責任を負う必要はありません。
    民法第109条(代理権授与の表示による表見代理等):第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
  3.  ◯ 正しい。
    民法第113条(無権代理):代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
  4.  × 誤り。
    民法第112条(代理権消滅後の表見代理等):他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

という訳で、正解は3です。

本問は民法の代理項目(第99条〜第118条)からの出題。正誤判別困難なときは「本人が守られる選択肢はどれか」視点で考えば、正答に近づけます。

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。