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宅建試験問題解説(R3第2回問7)

今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第2回の問7です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)

【問 7】 令和3年7月1日になされた遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1.  自筆証書によって遺言する場合、遺言者は、その全文、日付及び氏名を自書して押印しなければならないが、これに添付する相続財産の目録については、遺言者が毎葉に署名押印すれば、自書でないものも認められる。
  2.  公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要であるが、推定相続人は、未成年者でなくとも、証人となることができない。
  3.  船舶が遭難した場合、当該船舶中にいて死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立会いがあれば、口頭で遺言をすることができる。
  4.  遺贈義務者が、遺贈の義務を履行するため、受遺者に対し、相当の期間を定めて遺贈の承認をすべき旨の催告した場合、受遺者がその期間内に意思表示をしない時は、遺贈を放棄したものと見做される。

解説 民法(遺言)

  1.  ◯ 正しい。改正法により全文自署の要件が緩和され、遺言内容の一部をパソコン等で作成できるようになりました。民法第968条(自筆証書遺言):自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。第2項:前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
  2. ◯ 正しい。推定相続人とはその相続が発生したら相続人になる立場の人。私心が絡む可能性があるので、証人として相応しくありません。民法第974条(証人及び立会人の欠格事由):次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。①未成年者 ②推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族 ③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
  3. ◯ 正しい。民法第979条(船舶遭難者の遺言):船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人二人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる。
  4. × 誤り。民法第987条(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告):遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。

という訳で、正解は4です。

本問は難問。遺言に関する改正民法部分(令和2年(2022年)4月1日施行)に関する出題です。ちなみに「遺言」は、通常は「ゆいごん」と読みますが、法律用語では「いごん」と読みます。

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。