今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第2回の問21です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 21】 農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- 自己所有の農地に住宅を建設する資金を借り入れるため、当該農地に抵当権の設定をする場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
- 農地の賃貸借の解除については、農地の所有者が、賃借人に対して一方的に解約の申入れを行う場合には、法第18条第1項の許可を受ける必要がない。
- 登記簿の地目が宅地となっている場合には、現況が農地であっても法の規制の対象とはならない。
- 市街化区域内の自己所有の農地を駐車場に転用するため、あらかじめ農業委員会に届け出た場合には、法第4条第1項の許可を受ける必要がない。
解説 農地法
- × 誤り。農地に抵当権が設定された段階では、農地法第3条第1項(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)の許可を受ける必要はありません。
- × 誤り。農地法第18条(農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限):農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、政令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。
- × 誤り。ひっかけ問題。現況が農地であれば法規制の対象です。
- ◯ 正しい。
農地法第4条第1項(農地の転用の制限):農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。…(中略)…第8号:市街化区域(都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第1項の市街化区域と定められた区域(同法第23条第1項の規定による協議を要する場合にあつては、当該協議が調つたものに限る。)をいう。)内にある農地を、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものにする場合
という訳で、正解は4です。
農地法は、限られた国土資源である農地とその耕作者を保護する法律。農地以外への転用は何らかの規制がかかるので、正誤判断に迷ったときはその観点で考えましょう。