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宅建試験問題解説(R3第2回問27)

今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第2回の問27です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)

【問 27】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1.  AB間で建物の売買契約を締結する場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額についての特約を、代金の額の10分の2を超えて定めた場合、当該特約は全体として無効となる。
  2.  AB間で建築工事完了前の建物の売買契約を締結する場合において、AがBから保全措置が必要となる額の手付金を受領する場合、Aは、事前に、国土交通大臣が指定する指定保管機関と手付金等寄託契約を締結し、かつ、当該契約を証する書面を買主に交付した後でなければ、Bからその手付金を受領することができない。
  3.  AB間で建物の売買契約を締結する場合において、Aは、あらかじめBの承諾を書面で得た場合に限り、売買代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができる。
  4.  AB間で建築工事完了前の建物の売買契約を締結する場合において、売買代金の10分の2の額を手付金として定めた場合、Aが手付金の保全措置を講じていないときは、Bは手付金の支払を拒否することができる。

解説 宅建業法(8種規制)

  1.  × 誤り。「全体として無効」部分が誤りで、正しくは「代金の額の10の2を超える部分が無効」です。法第38条(損害賠償額の予定等の制限)第2項参照。
  2.  × 誤り。未完成物件は、指定保管機関を利用できません。法第41条(手付金等の保全)参照。
  3.  × 誤り。どのような小細工を用いても、20%を超える手付は受領できません。法第39条(手付の額の制限等)参照。
  4.  ◯ 正しい。法第41条(手付金等の保全)参照。

という訳で、正解は4です。

売主が宅建業者で買主が宅建業者以外の売買契約は、宅建業者に「8種規制」と呼ばれる規制がかかります。これは消費者保護規定の一種であり、宅建試験では頻発。合格に近づくため勉強し、必ず正答しましょう。

  • ①損害賠償額や違約金を定めるときは、合算して代金の20%以下
  • ②手付金等は解約手付とみなされ、代金の20%以下
  • ③手付金等の保全措置を講じた後でなければ、手付金等を受領禁止
  • ④自己の所有に属さない宅地や建物は、自ら売主としての売買契約は締結禁止
  • ⑤事務所等以外の場所で締結した売買契約は、クーリング・オフ制度が適用される
  • ⑥瑕疵担保責任について、買主にとって民法規定よりも不利になる特約は禁止
  • ⑦割賦販売契約を解除するには、30日以上の期間を定めて、書面で催告する
  • ⑧所有権留保、譲渡担保の禁止

以上

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。