今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第2回の問38です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 38】 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものの組合せとして、正しいものはどれか。なお、この問において「建築確認」とは、建築基準法第6条第1項の確認をいうものとする。
ア. 宅地建物取引業者Aは、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Bから当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。
イ. 宅地建物取引業者Cは、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Dから当該住宅の貸借の代理を依頼され、代理人として借主Eとの間で当該住宅の賃貸借契約を締結した。
ウ. 宅地建物取引業者Fは、自己の所有に属しない宅地について、自ら売主として、宅地建物取引業者Gと売買契約の予約と締結した。
エ. 宅地建物取引業者Hは、農地の所有者Iと建物の敷地に供するため農地法第5条の許可を条件とする売買契約を締結したので、自ら売主として宅地建物取引業者ではない個人JとI所有の農地の売買契約を締結した。
- ア、イ
- ア、エ
- イ、ウ
- ウ、エ
解説 宅建業法(複合問題)
ア. × 違反する。宅建業者は、建築確認前には、売買・交換・貸借の媒介の広告はできません。
法第33条(広告の開始時期の制限):宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第29条第1項又は第2項の許可、建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条第1項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
イ. ◯ 違反しない。宅建業者は、建築確認前であっても、貸借の媒介の契約締結はできます。
法第36条(契約締結等の時期の制限):宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第29条第1項又は第2項の許可、建築基準法第6条第1項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物につき、自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない。
ウ. ◯ 違反しない。これは8種制限に関するひっかけ問題。法33条の2(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)は、宅建業者は自己の所有に属しない宅地・建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む)を締結してはならない(法第33条の2)としています。しかし、買主が宅建業者の場合はこの限りではないので、違反にはなりません。
エ. × 違反する。法33条の2(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)違反です。
よって、違反しないものの組合せは、イとウなので、正解は3です。