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宅建試験問題解説(R3第2回問43)

今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第2回の問43です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)

【問 43】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない法人Bまたは宅地建物取引業者ではない個人Cをそれぞれ買主とする土地付建物の売買契約を締結する場合において、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、買主は本件売買契約に係る代金の全部を支払ってはおらず、かつ、土地付建物の引渡しを受けていないものとする。

  1.  Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その8日後にAの事務所で契約を締結したが、その際クーリング・オフについて書面の交付を受けずに告げられた。この場合、クーリング・オフについて告げられた日から8日後には、Bはクーリング・オフによる契約の解除をすることができない。
  2.  Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その3日後にAの事務所でクーリング・オフについて書面の交付を受け、告げられた上で契約を締結した。この書面の中で、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合、Bは、その書面を交付された日から12日後であっても契約の解除をすることができる。
  3.  Cは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その3日後にAの事務所でクーリング・オフについて書面の交付を受け、告げられた上で契約を締結した。Cは、その書面を受け取った日から起算して8日目に、Aに対してクーリング・オフによる契約の解除を行う旨の文書を送付し、その2日後にAに到達した。この場合、Aは契約の解除を拒むことができない。
  4.  Cは、Aの事務所で買受けの申込みをし、その翌日、喫茶店で契約を締結したが、Aはクーリング・オフについて告げる書面をCに交付しなかった。この場合、Cはクーリング・オフによる契約の解除をすることができない。

解説 宅建業法(クーリング・オフ)

  1.  × 誤り。仮設テント張りの案内所は、法上「事務所等以外の場所」なので、クーリング・オフ制度の対象になり、かつ、宅建業者は書面を交付して告げていないので、クーリング・オフ可能期間(8日)の計数が始まっていません。よって、契約解除はその後も有効です。
  2.  ◯ 正しい。宅建業法は、宅建業者と取引する宅建業者でない者(いわゆる一般消費者)を守るための法律であり、宅建業者に有利な特約は無効ですが、宅建業者でない者に有利な特約は有効です。
  3.  ◯ 正しい。法第37条の2(事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)第2項:申込みの撤回等は、申込者等が前項前段の書面を発した時に、その効力を生ずる。
本肢は頻出問題。民法では意思表示は「到達主義(その通知が相手方に到達した時から効力を生じる)」を採っています(民法第97条)が、クーリング・オフ制度は消費者保護の観点から特例として「発信主義(その通知を此方が発信した時から効力を生じる)」を採用しています。
  4.  ◯ 正しい。CはAの事務所で買受けの申込みをしているので、クーリング・オフ制度の適用外です。

という訳で、正解は1です。

「クーリング・オフ」とは「頭を冷やす」という意味。事業者が消費者を焦らせて契約を急がせることを防ぐため、様々な業界向けにクーリング・オフ制度が法律化されています。不動産業界ではこの宅建業法で厳しく規制されているので、クーリング・オフの適用の有無要件はちゃんと覚えておきましょう。

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。