国土交通省は、マンションの修繕積立金確保を促すため、政策見直しを検討中です。*1
背景は、マンションと居住者の高齢化。修繕積立金が不足し、毎月の修繕積立費の値上げや臨時徴収ももままならず、大規模修繕が困難な物件が増えています。その一因は、新築マンションの販売業者。物件を販売しやすくするため、当初の長期修繕計画案で毎月の修繕積立費を安めに見積る傾向にあります。物件を購入した住民(所有者)たちは、マンション管理組合を設立してマンション全体を管理することが法律(建物区分所有法)で義務付けられていますが、多くの管理組合が販売業者提示の長期修繕計画案をそのまま採用し、いざ大規模修繕が必要になる時期になって修繕積立金不足が問題になるのです。必要な時期に修繕を怠ると、雨漏りや売却価格下落するだけでなく、居住放棄者が増えてスラム化という最悪の事態にもなりかねません。
今回の政策見直しには期待していますが、問題が顕在化したマンションがすぐに救済される訳ではありません。そもそも私たち消費者がこうしたトラブルに巻き込まれないための心得は「マンションは管理を買え」ということ。具体的には概ね次のようなものです。
- 購入検討時:マンション販売業者が販売時に提案する長期修繕計画案を必ず確認しましょう。毎月の修繕積立費が概ね200円/㎡より少なかったら(私見)、その物件の購入は慎重に*2。
- 購入後:住民として(管理組合員の一員として)長期修繕計画を積極的に再検討し、値上げが必要なら早い段階で管理組合総会で決議しましょう。
- 売却:所有物件に長期修繕計画そのものがなかったり、修繕積立金不足が深刻なら、早めの売却(損切り)を検討しましょう。*3
*1 国土交通省 今後のマンション政策のあり方に関する検討会 とりまとめ(令和5年8月10日、概要)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001624180.pdf
*2 参考:国土交通省 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和5年4月追補版)
*3 修繕積立金不足の事実を隠して物件を売却することは法律に違反します。ご注意ください。