今日のネタは、住宅ローンが残る物件を売るときの注意点。
首都圏ではマンション価格が高騰中。この機会に物件(宅地建物)を売却し、住替えや移住資金に充てようと考えている方もいらっしゃるかも。但し住宅ローンが残る物件を売るには注意が必要です。
- 最大の注意点:住宅ローンが残る物件には抵当権が設定されているので、残債を完済して抵当権を抹消することが大前提です。その費用の出所は様々で、①自己資金、②買主のお金(抵当権を抹消した直後に物件を買主に引き渡す)、③金融機関のお金(住替えローン、つなぎ融資、任意売却)等があります。
- 残債額を調べる:残債額を調べる方法は、①借入計算書(借入時に発行)、②残高証明書(住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書、年末調整用に送付)、③借入先金融機関に問い合わせる等があります。
- 売却見込額を調べる:売却見込額を調べる方法は、①不動産AI査定マップ等(匿名で把握できる)、②複数の不動産仲介会社に査定依頼(積極的営業が始まる)等があります。
- 完済できるか調べる:上記調査の結果、①アンダーローン(売却金で残債+諸経費*1を完済できる)ならそのまま売却を進めることができますが、②オーバーローン(売却金で残債を返しきれず債務が残る)なら、この売却計画は要再考です。それでも売却必要な事情があるなら(自己破産しそう、ペアローン組んだのに離婚等)、先ずは地元自治体の無料法律相談等に駆け込みましょう。
- 売却先行か住み替え先行かを考える:①売却先行(現物件を売ってから、その後の住まいを購入する)をおすすめします。売り急ぐ必要がないので売却価格にこだわることができ、内見客(買主候補)が値引交渉してきても安易に妥協せずに済みます。但し、引越しが原則2 回発生することを忘れずに。②住み替え先行(先に次の住まいを買ってから、現物件を売りに出す)という方法もあります。金融機関の住み替えローン(現物件残債+新物件借入)を利用できますが、これはいわゆる二重ローンなので、一般的に返済額が高額になります。そのため、現物件を売り急いで想定外に安く売る羽目になりかねないので要注意です。返済計画をしっかり立てて、妥協できる売却額をちゃんと算出しておきましょう。
*1 売却にかかる諸経費は主に下記があり、売却見込額の10%程度を目安にしておきましょう。仲介手数料、抵当権抹消にかかる費用(登録免許税、司法書士費用、印鑑証明書発行費用、住民票発行費用、固定資産税証明書発行費用)、印紙税(売買契約書に貼る)、住宅ローン一括返済の手数料、引越費用、ハウスクリーニング費用(任意)、等。またこうした諸経費とは別に、売却益が出た場合、譲渡所得税(売却益が出た場合)がかかります。
※2024/5/24 誤字を訂正しました。×機械→○機会