今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和5年度の問45です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 45】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない買主Bに新築住宅を販売する場合に関する次の記述のうち、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。
- Aが信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1条第1項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業を営むものである場合、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負わない。
- Aは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、当該住宅の売買契約を締結するまでに、Bに対し供託所の所在地等について、必ず書面を交付して説明しなければならず、買主の承諾を得ても書面の交付に代えて電磁的方法により提供することはできない。
- Aは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、当該住宅の最寄りの供託所へ住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしなければならない。
- AB間の売買契約において、当該住宅の構造耐力上主要な部分に瑕疵があってもAが瑕疵担保責任を負わない旨の特約があった場合においても、Aは住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。
解説 宅建業法(住宅瑕疵担保履行法)
- × 誤り。「義務を負わない」部分が誤りで、正しくは「義務を負う」です。本肢のような宅地建物取引業を兼営する信託会社等は、宅地建物取引業者として扱われます。住宅瑕疵担保履行法第2条(目的)第4項を参照。
- × 誤り。「提供することができない」部分が誤りで、正しくは「提供することができる」です。買主の承諾を得ていれば、書面の交付に代えて電磁的方法により提供することができます。住宅瑕疵担保履行法第15条(宅地建物取引業者による供託所の所在地等に関する説明)第2項を参照。
- × 誤り。「当該住宅の最寄りの供託所」部分が誤りで、「当該宅地建物取引業者の主たる事務所の最寄りの供託所」です。住宅瑕疵担保履行法第11条(住宅販売瑕疵担保保証金の供託等)第6項を参照。
- ◯ 正しい。サービス問題。買主に不利な特約は無効です。業者Aは住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負います。住宅品質確保法第95条(新築住宅の売主の瑕疵担保責任)第2項を参照。
住宅瑕疵担保履行法は、構造計算書偽装問題等で明らかになった課題のうち、消費者(宅地建物取引業者でない買主)を保護するため制定された法律です。出題範囲が狭いのでしっかり覚えましょう。