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ファイナンス 危機管理

野村證券が再発防止策を発表したが…

今日のネタは、企業が顧客をどう見ているかという話。

野村證券は12/3に記者会見を行い、同社社員(当時)が強盗殺人未遂罪等で起訴されたのを受けて、再発防止策を発表しました。
野村證券は12/3に記者会見を行い、同社社員(当時)が強盗殺人未遂罪等で起訴されたのを受けて、再発防止策を発表しました。
私は記者会見(約2時間)をライブで視聴しましたが、これが実に違和感のある内容でした。発表された11項目にわたる再発防止策を要約すると「このような事件を二度と起こさないため社内ルールを強化する。」というもの。
しかし、記者会見では現行の社内ルールが形骸化していたことが判明。具体的には、同社では顧客への休日訪問は上司の事前承認が必要なのに、当該社員は日曜日(事件当日)に顧客宅訪問したことを事後報告し、上司もそれを咎めなかったことが明るみに。つまり現場では現行社内ルールが守られていないのに、社内ルールをさらに強化しても、効果が期待できるとは思えませんでした(私見)。
そして、今回発表の対策には「会社がどんなに社内教育をしても、犯罪に手を染める役員・社員は統計上一定数いるので、再びこのような事件が起きた場合はこう対応する」という内容が全くありませんでした。自動車で例えると、予防安全性能ばかり強化して、衝突安全性能は非公開というもの。これでは賢明な顧客に敬遠されてしまいます。
さらに残念だったのが記者会見終了後の出来事。ライブ中継がまだ続いていて、退席する役員の不貞腐れた歩き方が映っていました。経営トップがこの事件を他人事と思っている(俺たちも被害者だ。)との印象を持ちました。また一部の記者たちの不謹慎な会話も配信されていました。記者たちにとっては所詮、多くの事件のひとつでしかないのでしょう。しかし今回の事件は、信用・信頼が命の金融機関において、その社員が業務を悪用して起こした強盗殺人未遂および放火事件という極めて深刻なものです。
同社が顧客からの信用・信頼を取り戻せるよう祈っています。

https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/nsc/20241203/20241203.html

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。