今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第1回の問34です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 34】 宅地建物取引業法の規定に基づく営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 国土交通大臣から免許を受けた宅地建物取引業者が、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託した場合、当該供託所から国土交通大臣にその旨が通知されるため、当該宅地建物取引業者は国土交通大臣にその旨を届け出る必要はない。
- 宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有するが、取引をした者が宅地建物取引業者に該当する場合は、その権利を有しない。
- 営業保証金は、金銭による供託のほか、有価証券をもって供託することができるが、金銭と有価証券とを併用して供託することはできない。
- 有価証券を営業保証金に充てる場合における当該有価証券の価額は、国債証券の場合はその額面金額の100分の90、地方債証券の場合はその額面金額の100分の80である。
解説 宅建業法(営業保証金)
- × 誤り。 法第25条(営業保証金の供託等)第4項:宅地建物取引業者は、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
- ◯ 正しい。 法第27条(営業保証金の還付)第1項:宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。
- × 誤り。営業保証金は、金銭又は有価証券又はその混在で供託できます。 法第25条(営業保証金の供託等)第3項:第1項の営業保証金は、国土交通省令の定めるところにより、国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)第278条第1項に規定する振替債を含む。)をもつて、これに充てることができる。
- × 誤り。サービス問題。国債と地方債の換金率が間違いで、正しくは国債100%、地方債90%です。ちなみにその他の有価証券は80%です。なお、国が運営する供託制度で、国債の還元率が100%でない時点で、本肢は誤りであると容易に想像できます。 法施行令規則第15条(営業保証金又は弁済業務保証金に充てることができる有価証券の価額)を参照。
「営業保証金制度」と「宅地建物取引業保証協会」は、消費者(宅建業者と取引した者で、宅建業者以外)を取引トラブル(金銭的トラブル)から守るための仕組みです。それぞれの違いをしっかり覚えておきましょう。