今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第1回の問39です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 39】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者Bの媒介により、宅地建物取引業者ではないCを買主とするマンションの売買契約を締結した場合における宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフについて告げるときに交付すべき書面(以下この問において「告知書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 告知書面には、クーリング・オフによる買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除があったときは、Aは、その買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができないことを記載しなければならない。
- 告知書面には、クーリング・オフについて告げられた日から起算して8日を経過するまでの間は、Cが当該マンションの引渡しを受け又は代金の全部を支払った場合を除き、書面によりクーリング・オフによる買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除を行うことができることを記載しなければならない。
- 告知書面には、Cがクーリング・オフによる売買契約の解除をするときは、その旨を記載した書面がAに到達した時点で、その効力が発生することを記載しなければならない。
- 告知書面には、A及びBの商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならない。
解説 宅建業法(クーリング・オフ)
- ◯ 正しい。クーリング・オフを躊躇させるような行為は禁止されています。 法第37条の2(事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)を参照。
- × 誤り。ひっかけ問題。「引渡しを受け又は代金の全部を支払った」部分が誤りで、正しくは「引渡しを受けかつ代金の全部を支払った」です。クーリング・オフの実施範囲を狭めるような規定はありません。 法施行規則第16条の6(申込みの撤回等の告知):告げられた日から起算して8日を経過する日までの間は、宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払つた場合を除き、書面により買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除を行うことができること。
- × 誤り。頻出問題。クーリング・オフは発信主義(意思表示の効力が発生する時期は、発信の時とする)であり、民法の到達主義[民法第97条(意思表示の効力発生時期等)を参照]との違いです。
- × 誤り。ひっかけ問題。「A及びB」部分が誤りで、正しくは「A」です。クーリング・オフ書面は、売主(宅建業者A)と買受けの申込み者(宅建業者でないC)の間の取り決めであり、媒介者(宅建業者B)の情報は必要ありません。