今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和6年度の問8です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 8】 次の記述のうち、民法の条文として規定されていないものはどれか。
- 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
- 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を現状に復させる義務を負う。
- 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
- 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を逃れる法律行為については、この限りではない。
解説 民法条文
- × 条文として規定されていない。実は以前はこの条文がありましたが、契約の成立時期を発信主義から到達時期に見直しが行われ、民法改正(令和2年4月1日施行)によりこの条文(改正前の民法第526条(隔地者間の契約の成立時期)第1項)は削除されました。
- ◯ 条文がある。民法第121条の2(原状回復の義務)第1項を参照。
- ◯ 条文がある。民法第107条(代理権の濫用)第1項を参照。
- ◯ 条文がある。民法第5条(未成年者の法律行為)第1項を参照。
本問は難問に見えますが、実は民法改正のポイント(契約の成立時期を発信主義から到達時期に見直し)を押さえておけば正答できる問題です。このポイントを押さえていなかった場合、民法に条文があるかを問う難問かつ意地悪問題と化してしまいます。民法条文の有無を問う問題なんて出題されるはずないと気づいた受験者は、その冷静かつ推察力は素晴らしいと思います。そうでない受験者も気にせず、次の問に臨みましょう。