今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和6年度の問17です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 17】 建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、建築副主事の確認にあっては、建築基準法に定める大規模建築物以外の建築物に限るものとする。
- 高さ25mの建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効に避雷設備を儲けなければならない。
- 特定行政庁は、建築基準法の規定に違反した建築物(国、都道府県または建築主事を置く市町村の建築物を除く。)の所有者に対して、緊急の必要があり、仮に当該建築物の使用禁止または使用制限の命令をする場合であっても、意見書の提出先等を記載した通知書の交付等の手続をとらなければならない。
- 防火地域内に存在する共同住宅(その用途に供する部分の床面積の合計が300㎡)を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であっても、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要がある。
- 劇場の用途に供する建築物を映画館(その用途に供する部分の床面積の合計が500㎡)に用途変更する場合、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要がない。
解説 建築基準法(建築確認)
- ◯ 正しい。 建築基準法第33条(避雷設備):高さ20mをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によつて安全上支障がない場合においては、この限りでない。
- × 誤り。サービス問題。法令を知らなくても、緊急の必要があるのに手続きをとっている場合じゃないだろうと推察できると思います。 建築基準法第9条(違反建築物に対する措置)第7項:特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定(意見書提出や公聴会など)にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
- ◯ 正しい。当該床面積の合計が10㎡以内のときは建築確認が不要です。 建築基準法第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)第2項:前項の規定(建築確認が必要な要件)は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるときについては、適用しない。
- ◯ 正しい。本肢は例外規定からの出題で難問。床面積200㎡を超える劇場を映画館に用途変更する場合は、例外規定により建築確認が不要で、用途変更の届出で済みます。 建築基準法第87条(用途の変更に対するこの法律の準用)第1項を参照。建築基準法施行令第137条の18(建築物の用途を変更して特殊建築物とする場合に建築主事の確認等を要しない類似の用途)第1号を参照。
建築基準法からは毎回2問が出題されます。建築基準法は規定が多く、例外規定も多いので覚えるのに苦労します。本問は肢4が例外規定からの出題で難問でしたが、肢2がサービス問題かつ正解肢だったので、正答できた受験者は多かったと思います。