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在職老齢年金制度の見直し

今日のネタは、在職老齢年金の改正点について。
 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立、公布されました。今日のネタは、そのうちの「在職老齢年金」についての解説です。

本題に入る前に、在職老齢年金に関する基礎知識のおさらい。ポイントは3つです。

  1. 在職老齢年金とは、60歳以上の厚生年金被保険者(これを在職者と言います)が、老齢厚生年金を受け取る場合の特例。賃金と年金月額の合計が「基準額」を超えると、年金支給がそれに応じて減額されます。
  2. 減額の計算方法は、①60〜64歳(特別支給の老齢厚生年金)②65歳以上(老齢厚生年金)で異なり、①の方が減額が大きい。
  3. 計算式の基になる「賃金と年金月額の合計」とは、厚生年金被保険者として得た賃金と厚生年金月額。賃金の対象外の例は、パートやアルバイト等の厚生年金被保険者でない働き方で得た賃金、個人事業主としてアパート経営や駐車場経営で得た収入です。また、企業年金を受け取っている方は、その種類によって扱いが異なります。
    1. 確定給付型企業年金(DB)は計算式の対象外。
    2. 企業型確定拠出年金(DC)も計算式の対象外。
    3. 厚生年金基金は対象です。これは厚生年金(報酬比例部分)の一部を代行している制度だからです。但し、その企業年金基金が独自加算を行なっている場合、その部分の金額は計算式の対象外です。

前置きが長くなりました。いよいよ本題。今回の改正のうち、60歳〜64歳の対象者については、その「基準額」が、28万円(現状)→47万円に緩和されます。即ち「賃金と年金月額の合計」が28万円〜47万円で、年金が減額される方は、改正後(令和4年4月〜)は減額されなくなります。なお、65歳以上の方は現在の法律とほぼ同じです。

今回のネタは、年金制度改正点のごく一部の紹介でした。公的年金制度は、過去からのしがらみ(移行措置等)が多く、特例が多いので大変わかりにくくなっています。ご自身の公的年金については、年に1回ご自宅に届く「ねんきん定期便」資料を片手に、日本年金機構に問い合わせしてみましょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html

 

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。