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特別支給の老齢厚生年金に関する注意点

今日は特別支給の老齢厚生年金に関する注意点。長文かつ、該当する方の範囲が狭い(後述)ことをご容赦ください。

老齢基礎年金と老齢厚生年金の65歳支給開始は実施済みですが、さらに平成6年の法改正で、60歳から当面支給されていた「特別支給の老齢厚生年金」の段階的廃止が決まりました。その要点は、昭和28年4月2日~36年4月1日生まれの男性(女性はその5年遅れ。但し女性公務員は男性と同じ扱い)は、「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分相当額の部分年金)」が61歳~64歳に支給開始され、64歳で支給終了するというもの。今日のネタはその開始時期に関する注意点です。ポイントは主に3つです。

1.年金支給は自動開始しない。手続きが必要。

年金は、受給開始年齢になると自動的に支給が始まるものではありません。自身で受給開始手続きが必要です。これを年金請求と言います。でもご安心ください。支給開始年齢の3か月前になると、申請用紙が本人宛に届くので、必要書類(戸籍謄本や住民票等)と共に年金事務所へ提出すればよいのです。大切なのは、3ヶ月前に申請用紙が届くことを覚えておくこと。もし届かない場合は、こちらから確認を入れることです。

2.特別支給の老齢厚生年金の額は生涯続くわけではない

該当する方は、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」に2つの時期の金額が印刷されています。ひとつは60台前半からの「特別支給の老齢厚生年金」額。もうひとつが65歳からの「老齢基礎年金+老齢厚生年金」額です。前者は64歳まで支給。後者は65歳から生涯支給されます。当然後者の方が額が増えます。ところが、人によってはこの内容を誤認し、60台前半から支給開始するとその少ない額が生涯続くと思い込み、65歳のタイミングで年金請求しようとする方がいるようです。それは誤解です。ご注意ください。

 

3.特別支給の老齢厚生年金は繰り下げ支給できない

老齢厚生年金や老齢基礎年金は、支給開始時期を繰り下げ・繰上げすると支給金額が増額・減額しますが、「特別支給の老齢厚生年金」は繰り下げの対象外です。ご注意ください。

以上がポイントです。年金制度は経過措置が多いので例外処理が複雑です。さらに詳しくは年金事務所に気軽に質問しましょう。(最終更新:2020/1/8)

 

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。