今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和4年度の問20です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 20】 次の記述のうち、土地区画整理法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日以後、換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある建築物の新築を行おうとする者は、土地区画整理組合の許可を受けなければならない。
- 土地区画整理組合は、定款に別段の定めがある場合においては、換地計画に係る区域の全部について工事が完了する以前においても換地処分をすることができる。
- 仮換地を指定したことにより、使用し、又は収益することができる者のなくなった従前の宅地については、当該宅地を使用し、又は収益することができる者のなくなった時から換地処分の公告がある日までは、施行者が当該宅地を管理する。
- 清算金の徴収又は交付に関する権利義務は、換地処分の公告によって換地についての所有権が確定することと併せて、施行者と換地処分時点の換地所有者との間に確定的に発生するものであり、換地処分後に行われた当該換地の所有権の移転に伴い当然に移転する性質を有するものではない。
解説 土地区画整理法
- × 誤り。「土地区画整理組合の許可」部分が誤りで、正しくは「都道府県知事等の許可」です。
法第76条(建築行為等の制限)第1項:次に掲げる公告があつた日後、第103条(換地処分)第4項の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、国土交通大臣が施行する土地区画整理事業にあつては国土交通大臣の、その他の者が施行する土地区画整理事業にあつては都道府県知事(市の区域内において個人施行者、組合若しくは区画整理会社が施行し、又は市が第3条第4項の規定により施行する土地区画整理事業にあつては、当該市の長。以下この条において「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。 - ◯ 正しい。
法第103条(換地処分)第2項:換地処分は、換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了した後において、遅滞なく、しなければならない。ただし、規準、規約、定款又は施行規程に別段の定めがある場合においては、換地計画に係る区域の全部について工事が完了する以前においても換地処分をすることができる。 - ◯ 正しい。
法第100条の2(仮換地に指定されない土地の管理)を参照。 - ◯ 正しい。本肢は法令でなく判例からの出題であり難問。清算金の徴収又は交付に関する権利義務は、換地処分後に行われた土地売買に伴い、当然に買主に移転する性質を有するものではありません。何故なら、当該権利義務が当然に移転すると、売主又は買主に徴収回避又は理不尽な負担が生じるからです。 最高裁判例(昭和48年12月21日最高裁判所第二小法廷、換地代金請求)を参照。
という訳で、正解は1です。
肢1〜3は頻出問題でしたがそこで正誤判断に迷った場合、肢4を選んでしまうかもしれません。