今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和4年度の問40です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 40】 建物の貸借の媒介を行う宅地建物取引業者が、その取引の相手方(宅地建物取引業者を除く。)に対して、次のアからエの発言に続けて宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行なった場合のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはいくつあるか。
ア. 本日は重要事項の説明を行うためにお電話しました。お客様はIT環境をお持ちでなく映像を見ることができないとのことですので、宅地建物取引士である私が記名押印した重要事項説明書は現在お住まいの住所に郵送いたしました。このお電話にて重要事項の説明をさせていただきますので、お手元でご覧いただきながらお聞き願います。
イ. 建物の貸主が宅地建物取引業者で、代表者が宅地建物取引士であり建物の事情に詳しいことから、その代表者が作成し、記名押印した重要事項説明書がこちらになります。当社の宅地建物取引士は同席しますが、説明は貸主の代表者が担当します。
ウ. この建物の担当である弊社の宅地建物取引士が本日急用のため対応できなくなりましたが、せっかくお越しいただきましたので、重要事項説明書にある宅地建物取引士欄を訂正の上、宅地建物取引士である私が記名押印をし、代わりに説明をいたします。私の宅地建物取引士証をお見せします。
エ. 本日はお客様のご希望ですので、テレビ会議を用いて重要事項の説明を行います。当社の側の音声は聞こえていますでしょうか。十分に聞き取れたとのお返事、こちらにも聞こえました。では、説明を担当する私の宅地建物取引士証をお示ししますので、画面上でご確認をいただき、私の名前を読み上げていただけますでしょうか。そうです。読み方も間違いありません。それでは、双方音声・映像ともやりとりできる状況ですので、説明を始めます。事前にお送りした私が記名押印した重要事項説明書をお手元にご用意ください。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
解説 宅建業法(IT重説)
ア. × 違反する。映像がなく音声のみのIT重説は違反です。宅地建物取引士証を提示できないからです。
国土交通省重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル(国土交通省、令和4年4月発行)を参照。
イ. × 違反する。ひっかけ問題。貸主が重要事項説明書を発行している部分が違反です。重要事項説明書の交付義務は宅地建物取引業者にあります。
ウ. ◯ 違反しない。記述のとおり、説明する宅地建物取引士は、専任か一般かは問いません。
エ. ◯ 違反しない。記述のとおりです。
よって、違反しないものは二つなので、正解は2です。
ITを用いた重要事項説明(IT重説)は、2017年10月1日より賃貸契約で、2021年4月より売買契約で、それぞれ運用可能になりました。今後も出題機会が増えると思います。