今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和4年度の問41です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 41】 営業保証金及び宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
ア. 宅地建物取引業者の代表者が、その業務に関し刑法第222条(脅迫)の罪により懲役の刑に処せられたことを理由に宅地建物取引業の免許を取り消された場合、当該宅地建物取引業者であった者は、当該刑の執行を終わった日から5年間は供託した営業保証金を取り戻すことができない。
イ. 営業保証金の還付により、営業保証金が政令で定める額に不足することとなったため、国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた宅地建物取引業者は、その送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
ウ. 保証協会の社員は、自ら取り扱った宅地建物取引業に係る取引の相手方から当該取引に関する苦情について解決の申出が保証協会にあり、保証協会から関係する資料の提出を求められたときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならない。
エ. 保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が納付した弁済業務保証金の額に相当する額の範囲内において弁済を受ける権利を有する。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
解説 宅建業法(営業保証金と保証協会)
ア. × 誤り。免許を取り消された場合、営業保証金を取戻すには、6か月以上の期間を定めて公告が必要ですが、5年間待つとの規定はありません。
法第30条(営業保証金の取戻し)第1項、第2項を参照。
イ. ◯ 正しい。記述のとおりです。
法第28条(営業保証金の不足額の供託)第1項を参照。
ウ. ◯ 正しい。記述のとおりです。
法第64条の5(苦情の解決)第3項を参照。
エ. × 誤り。「弁済業務保証金」部分が誤りで、正しくは「営業保証金」の額に相当する額の範囲内です。
法第64条の8(弁済業務保証金の還付等)第1項を参照。
よって、誤っているものは二つなので、正解は2です。
営業保証金制度と弁済業務保証金制度は、顧客(宅建業者との取引相手)を守るための制度です。それぞれの制度の違いをしっかり勉強しておきましょう。また、顧客を守るという目的は同じなので、肢4のようなひっかけ問題に注意しましょう。