今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第2回の問4です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 4】 いずれも宅地建物取引業者でない売主Aと買主Bとの間で令和3年7月1日に締結した売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- BがAに対して手付を交付した場合、Aは、目的物を引き渡すまではいつでも、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができる。
- 売買契約の締結と同時に、Aが目的物を買い戻すことができる旨の特約をする場合、買戻しについての期間の合意をしなければ、買い戻しの特約自体が無効となる。
- Bが購入した目的物が第三者Cの所有物であり、Aが売買契約締結時点でそのことを知らなかった場合には、Aは損賠を賠償せずに売買契約を解除することができる。
- 目的物の引渡しの時点で目的物が品質に関して契約の内容に適合しないことをAが知っていた場合には、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追求することができる。
解説 民法(売買)
- × 誤り。相手方が契約の履行に着手した後は、手付放棄や手付倍返しによる契約解除はできません。民法第557条(手付) 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
- × 誤り。特約無効にはならず、5年以内に買い戻さなければなりません。民法第580条の3(買戻しの期間):買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければならない。
- × 誤り。損賠賠償して売買契約をしなければなりません。規定第561条(他人の権利の売買における売主の義務):他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
- ◯ 正しい。民法第566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限):売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
という訳で、正解は4です。