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宅建試験問題解説(R3第2回問8)

今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第2回の問8です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)

【問 8】 AはBに対して、Aが所有する甲土地を1,000万円で売却したい旨の申込みを郵便で令和3年7月1日に発信した(以下この問において「本件申込み」という。)が、本件申込みがBに到達する前にAが死亡した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1.  Bが承諾の通知を発する前に、BがAの死亡を知ったとしても、本件申込は効力を失わない。
  2.  Aが、本件申込みにおいて、自己が死亡した場合には申込みの効力を失う旨の意思表示をしていたときには、BがAの死亡を知らないとしても本件申込みは効力を失う。
  3.  本件申込みが効力を失わない場合、本件申込に承諾をなすべき期間及び撤回をする権利についての記載がなかったときは、Aの相続人は、本件申込みをいつでも撤回することができる。
  4.  本件申込みが効力を失わない場合、Bが承諾の意思表示を発信した時点で甲土地の売買契約が成立する。

解説 民法(契約の成立)

  1.  × 誤り。契約は、Aの申込みに対してBが承諾して成立するもの。Aが死亡したことをBが知っていたら、Aの申込みは効力を持ちません。
    民法第526条(申込者の死亡等):申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない状況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。
  2.  ◯ 正しい。停止条件付きの申込みです。
  3.  × 誤り。
    民法第525条(承諾の期間の定めのない申込み):承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
  4.  × 誤り。民法は原則、到達主義を採用しています。例外として、特定商取引法が「クーリング・オフ」で発信主義を採用していますが、これは消費者保護のためです。消費者関連業務に携わっている方には、本肢はひっかけ問題になる可能性があるのでご注意ください。
    民法第522条(契約の成立と方式):契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

という訳で、正解は2です。

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。