今日のネタは、サプリメントと医薬品の違いについて。
小林製薬が製造販売した機能性表示食品・健康系サプリメントの「紅麹コレステヘルプ」を摂取した消費者のなかから死亡や健康被害が報告され、関連商品の回収騒ぎが拡大しています。被害者の皆さんには本当にお気の毒です。今日はそれとは別視点ですが、サプリメントに関する注意喚起です。
そもそも「健康食品」や「サプリメント」という名称には法律上の定義がありません。メーカーが、健康の維持・増進に役立つことをうたった食品を「健康食品」と呼び、さらにそのうち粒状やカプセル状の健康食品を「サプリメントまたはサプリ」と呼び、それが世間になんとなく定着しているものです。そのため消費者が受け取る印象は様々で、薬だと思っている人がいるかもしれませんが、あくまで食品であって、医薬品ではありません。
健康食品のうち下記のものは「保険機能食品」と呼び、法律によって食品の機能性(生体調節機能)を表示できます。
- 特定保健用食品(トクホ):国が審査し機能性が認められた食品。申請・認可までに莫大な費用と時間を要するので、実質的に資金豊富な一部企業しか取得していません。
- 栄養機能食品:既に科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含んでいれば、国に届出などをしなくても機能性を表示することができます。
- 機能性表示食品:事業者の責任において、健康に効果があるとの根拠と情報を販売前に消費者庁長官に届出した食品。
今回の「紅麹コレステヘルプ」は3つ目の機能性表示食品です。よって原則として国の補償は得られず、メーカーの責任で賠償が行われます(メーカーが財政破綻しない範囲で)。そもそも機能性表示食品は食品なので、医薬品の代わりに摂取するのは論外です。特にサプリは成分が凝縮されていて、しかも服用しやすいので、継続的に摂取すると過剰摂取になりかねない危険性を含んでいます。これをリスク回避の概念式で表現すると、
- 危険確率(医薬品ではない) × 頻度(継続摂取) = リスク(増大)
となります。サプリを医薬品の代わりに長期摂取するのは避け、投薬が必要な治療は薬や食事療法・運動などで行うのが基本です。