今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和5年度の問35です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 35】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない買主Bから宅地の買受けの申込みを受けた場合における宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- Aは、仮設テント張りの案内所でBから買受けの申込みを受けた際、以後の取引について、その取引に係る書類に関してBから電磁的方法で提供をすることについての承諾を得た場合、クーリング・オフについて電磁的方法で告げることができる。
- Aが、仮設テント張りの案内所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、クーリング・オフについて告げられた日から8日以内に電磁的方法により当該申込みの撤回を申し出れば、申込みの撤回を行うことができる。
- Aが、Aの事務所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、申込みの日から8日以内に電磁的方法により当該申込みの撤回を申し出れば、申込みの撤回を行うことができる。
- Aが、売却の媒介を依頼している宅地建物取引業者Cの事務所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、申込みの日から8日以内に書面により当該申込みの撤回を申し出ても、申込みの撤回を行うことができない。
解説 宅建業法(クーリング・オフ)
- × 誤り。「電磁的方法で告げることができる」部分が誤り。業者Aは、法定事項を記載した書面を交付して、クーリング・オフできる旨とその方法を説明しなければなりません。宅地建物取引業法施行規則第16条の6(申込みの撤回等の告知)を参照
- × 誤り。「電磁的方法により」部分が誤り。正しくは「書面により」です。宅地建物取引業法第37条の2(事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)を参照。
- × 誤り。「申込みの撤回を行うことができる」部分が誤りです。買受けの申込みをした場所(業者Aの事務所)はクーリング・オフ制度の対象外です。ちなみに、クーリング・オフの方法は、電磁的方法ではできません。宅地建物取引業法第37条の2(事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)を参照。
- ◯ 正しい。依頼先業者Bの事務所は業者Aの事務所とみなされるので、クーリング・オフ制度の対象外です。宅地建物取引業法施行規則第16条の5(法第37条の2第1項の国土交通省令・内閣府令で定める場所)第1号ハを参照。
クーリング・オフとは「頭を冷やす=冷静になる」という意味。売主業者が、買主(業者を除く)を慌てさせたり冷静な判断ができない状況や場所で買受けの申込みや売買契約をさせた場合、一定期間、白紙撤回を認める規定です。クーリング・オフできる条件をしっかり押さえておきましょう。