今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第1回の問5です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 5】 次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 令和3年4月1日において18歳の者は成年であるので、その時点で、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することができる。
- 養育費は、子供が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない期間を対象として支払われるものであるから、子供が成年に達したときは、当然に養育費の支払義務が終了する。
- 営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。
- 意思能力を有しないときに行った不動産の売買契約は、後見開始の審判を受けているか否かにかかわらず効力を有しない。
解説 民法(未成年者の行為能力)
- × 誤り。ひっかけ問題。「令和3年4月1日において18歳の者は成年である」部分が誤りで、正しくは「令和4年4月1日において18歳の者は成年である」です。よって、まだ当該契約を1人で締結することはできません。
- × 誤り。民法には「子供が成年に達したときは、当然に養育費の支払義務が終了する」旨の規定はありません。民法第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等):父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。 第2項:前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。 第3項:家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。 第4項:前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
- × 誤り。ひっかけ問題。「その営業に関するか否かにかかわらず」部分が誤り。その営業に関しない負担付き贈与は、法定代理人が取り消すことができます。 民法第6条(未成年者の営業の許可)第1項:一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
- ◯ 正しい。記述のとおりです。 民法第3条の2(意思能力):法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。