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宅建試験問題解説(R3第1回問6)

今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和3年度第1回の問6です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)

【問 6】 売買代金債権(以下この問において「債権」という。)の譲渡(令和3年7月1日に譲渡契約が行われたもの)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1.  譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合、当該債権譲渡の効力は妨げられないが、債務者は、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。
  2.  債権が譲渡された場合、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、その後に発生した債権を取得できない。
  3.  譲渡制限の意思表示をされた債権の譲受人が、その意思表示がされていたことを知っていたときは、債務者は、その債権の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由を持って譲受人に対抗することができる。
  4.  債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知し、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができず、その譲渡の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

解説 民法(債権の譲渡)

  1.  ◯ 正しい。
民法第466条の2(譲渡制限の意思表示がされた債権に係る債務者の供託):債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。次条において同じ。)の供託所に供託することができる。
  2.  × 誤り。「譲受人は、その後に発生した債権を取得できない」部分が誤りで、正しくは「譲受人は、発生した債権を当然に取得する」です。
民法第466条の6(将来債権の譲渡性)第1項:その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。 第2項:債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。
  3.  ◯ 正しい。
民法第466条(債権の譲渡性)第3項:前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
  4.  ◯ 正しい。
民法第467条(債権の譲渡の対抗要件)第1項:債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 第2項:前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

令和2年の民法改正により、債権譲渡禁止特約をした場合であっても、債権の譲渡が可能になりました。宅建士試験では関連法規の改正部分は出題されやすい傾向にあります。

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。