今日のネタは、家電の指定価格制度ついての解説。
家電店を訪れると一部の家電商品に「メーカー指定価格」という値札が付いていて、店頭値引きや在庫処分値引されない商品があります。
これはパナソニックグループ(以下P社)が2020年から試験運用開始し、日立グループ(以下H社)が2023年に追従した販売価格制度。どこの家電店でも販売価格が原則同じです。その目的は値崩れを防ぎメーカー・家電店双方の利益を確保すること。しかし消費者に反感買われては意味ないので、当初は競争力のある商品(例:斜めドラム洗濯機、ナノケアドライヤー等)で試験運用し、その後適用商品を拡大してきました。しかし競争力の弱い商品では他社に押され、店頭に商品そのものが置いていないことさえあります(例:P社の掃除機等)。メーカーとしては「諸刃の刃」かつ「背水の陣」の制度です。
この販売制度が独占禁止法(再販売価格の拘束)に違反しない理由は、簡単に言うと、家電店の在庫責任をメーカー側が負っているから。家電店の仕入れは通常、家電店が自己責任で仕入れ代金を支払うので、再販価格(消費者に販売する価格)は家電店が決定できます。しかしこの販売制度の場合、家電店の売れ残りや在庫管理リスク(家電店の責任によらない在庫の滅失・毀損)もメーカー側が負うので、当該商品に関しては「再販」ではなく「取次」という法的解釈が行われたようです。
但しメーカーが忘れてはならないのは、最終的にお金を払って商品を購入するのは消費者(エンドユーザー)だということ。価格は購入判断の大きな要素。メーカーが指定価格制度を継続するには、消費者にとって魅力的な商品(他社商品に比べて価格以上の価値がある)を出し続けることが必要です。そうなるよう祈ってます。