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宅建試験問題解説(R6問1)

今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和6年度の問1です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)

【問 1】 違法行為に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1.  営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。
  2.  公の秩序に反する法律行為であっても、当事者が納得して合意した場合には、その法律行為は有効である。
  3.  詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったものとみなされるのに対し、強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である。
  4.  他人が所有している土地を目的物にした売買契約は無効であるが、当該他人がその売買契約を追認した場合にはその売買契約は有効となる。

解説 意思表示

  1.  ◯ 正しい。営業を許可された未成年者は、民法上はその営業に関して成年者と同一の行為能力を有しますが、その未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、成年者と同一の行為能力があるとの許可が取り消され、取り消された行為は初めから無効であったものとみなされます。民法第6条(未成年者の営業の許可)および第121条(取消しの効果)を参照。
  2.  × 誤り。基本問題。公序良俗(公の秩序又は善良の風俗)に反する法律行為は無効であり、例外規定はありません。民法第90条(公序良俗)を参照。
  3.  × 誤り。詐欺又は強迫による意思表示は取り消すことができますが、無効になるのではありません。民法での「取り消し」と「無効」の違いを問う基本問題。民法第96条(詐欺又は強迫)を参照。
  4.  × 誤り。他人の権利(土地の所有権)を売買の目的とすることは有効ですが、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負います。宅地建物取引士を目指す者として知っておいてほしい基本問題です。民法第561条(他人の権利の売買における売主の義務)を参照。

問1はこの数年間、判例から出題されるサービス問題(国語問題)でしたが、今回から民法から出題される本来スタイルに戻りました。本問は正解肢が難問でしたが、他の選択肢が基本問題だったので、消去法で正答に近づけたと思います。

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。