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宅建試験問題解説(R6問7)

今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和6年度の問7です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)

【問 7】 Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結され、Bが甲建物の引渡しを受けた場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1.  CがBに対し甲建物をAから買受けたとの虚偽の話をしたので、これを信じたBが甲建物の占有を任意にCに移転した場合、AはCに対して、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することはできない。
  2.  Bが、Aの甲物件への立ち入りを建物入り口を閉ざして拒んだときは、Aは甲建物の間接占有が略奪されたものとして、Bに対して、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することができる。
  3.  Bが死亡して、DがBを単独相続した場合、Dは相続開始を知るまでは、Bによる甲建物の占有を承継しない。
  4.  AとBのいずれもが死亡した場合、本件契約は当然に終了する。

解説 民法(占有権)

  1.  ◯ 正しい。ひっかけ問題。Bは「占有を任意にCに移転」しているので、「占有を奪われた」訳ではなく、民法第200条の占有回収の訴えは適用外です。 民法第200条(占有回収の訴え)第1項:占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
  2.  × 誤り。基本問題。Bは賃貸借契約により甲物件の引渡しを受けて現在占有しており、入り口を閉ざすのは自由です。甲物件の現在の占有者はBであり、賃貸人Aではありません。冷静に考えれば、Aは大家だからと言って、Bに貸した物件に勝手に立ち入って良いはずがありません。
  3.  × 誤り。ひっかけ問題。相続開始は相続が発生したとき(Bが死亡したとき)です。ちなみに、相続の開始があつたことを知つた日の翌日から10か月以内に相続税の申告手続をするというのは、相続税法(第27条:相続税の申告書)の規定です。 民法第896条(相続の一般的効力):相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
  4.  × 誤り。基本問題。賃貸人Aと賃借人Bのそれぞれの権利義務は、それぞれの相続人に相続されます。 民法第896条(相続の一般的効力)を参照。

本件は難問。正答できなかったとしても気にせず次の問に臨みましょう。なお、問題文にある「判例」については、継続調査中です。

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。