不動産サブリースに関するトラブルが連日報道されています。
3/28の新聞報道等によると、シェアハウスへの投資名目で割高な不動産を購入させられたとして、物件の購入者らが、シェアハウス・かぼちゃの馬車を運営するスマートデイズ社などに対し、2億円の賠償を求める訴えを東京地裁に起こしました。
また、週刊ダイヤモンド誌は数年程前から、大東建託による賃貸経営受託システム(30年一括借上)が、オーナーとの間でトラブルになっている記事を掲載しています。これに対して大東建託は、当該記事に対して、名誉毀損による損害賠償、謝罪広告の掲載、および当該記事の削除を求め訴訟を起こしています。
これらトラブルの原因になっているのは「不動産サブリース」という契約形態。実は不動産オーナーにとってはリスクの高いビジネスモデルです。それを解説するため、不動産サブリースを始める一般的な流れを説明します。
- 不動産会社が提案し、オーナーが土地活用(節税、等)を決断。銀行から資金調達し、賃貸物件(アパート、シェアハウス等を含む)を建てる。
- 不動産会社は、賃貸物件建築を請負い建築(不動産会社は建設費回収)。
- 不動産会社が賃貸物件を例えば30年長期一括借上契約。入居者募集から物件保守に至るまで全管理を請負い、入居者家賃から手数料を引いてオーナーに配当する。
- オーナーは、この入金を基に銀行からの借金を毎月返済する。
- (ここからが問題なのだが)実は契約書では、借上期間は30年だが、家賃保証期間は10年だったりする。他物件との競争激化や老朽化に伴い入居率が低下すると、不動産会社はオーナーに対して11年目から、家賃値下げもしくは一括借上契約解除等を提案する。
- この家賃収入値下げに伴い、オーナーは家賃収入で住宅ローンを返せない状況に追い込まれることがある。最悪の場合、物件そのものを失う(銀行により競売にかけられる)。それでも借入額を返せない場合、借金だけが残る。
もうお分かりだと思いますが、不動産サブリースのトラブルに発展する契約は、不動産会社側はほとんどリスクを取らない(損しにくい)契約になっているのです。多くのリスク(競合物件出現、入居率低下、家賃値下げ、老朽化、等)はオーナー側が負う契約になっている事が多いのです。そもそも、長年に渡ってそんなに儲かるなら、不動産会社が自ら土地購入し、自社でアパート経営に乗り出すはずです。オーナーが不動産サブリース契約をする場合、ローンを返し終わり、物件の減価償却が終わるまでの間に、どのような環境変化があり、その場合に賃貸収支がどうなるのかを十分に検討する事が大切です。
詳しくは下記の参考リンクをご一読ください。
- 国民生活web版2014年8月号の特集「不動産サブリース問題の現状」
- NHKクローズアップ現代+「アパート建築が止まらない 〜人口減少社会でなぜ〜」