今日のネタは、レオパレス21施工不良問題に関する所感。
テレビ東京の番組スクープをきっかけに、株式会社レオパレス21が請負建築した賃貸住宅の施工不良問題が表面化し、大きな社会問題に発展しています。問題概要については各メディアを参照していただくとして、私のネタのポイントは、建築基準法の問題。建築確認の仕組上の弱点を突かれた形であり、今後法改正に発展するかもしれません。
なぜなら、問題はその施工不良件数の多さ。同社発表資料(1/28時点)によれば、優先調査対象の15,283棟について施工不備が発見された割合は何と88.5%(調査途中状況データ)。
なぜ、こうした施工不良(同社は「施工不備」と表現)が長年に渡り発見・指摘されなかったかを鑑みると、そこには現行の建築基準法における検査体制の弱点が見え隠れします。
建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とし、100条を超える詳細かつ厳格な基準・罰則を定めています。しかし、建築される建物のほとんどが個別設計であり、建築確認は書類審査が主なので、工事完了検査時に「悪意のある施工不良」を見抜く事は簡単ではないのです。
そのための救済策として、民法では、施工不良は「隠れた瑕疵」として無償補修や損害賠償を請求できることになっています。しかし、今回の施工不良は違反件数が膨大かつ長期的なので、「何のための建築基準法なのか」が疑問視されます。
今回の問題は、2005年に発覚した構造計算書偽装問題(耐震偽装問題)を彷彿とさせます。あのときは、建築基準法が2006年に改正され、新たに住宅瑕疵担保履行法が施行され、買主(賃貸物件オーナー)保護が強化されました。しかし法律をどれだけ強化しても、職業倫理が欠如した業者がなくなる訳ではありません。施工不良と法改正とのいたちごっこはこれからも続きそうです。