今日のネタは、国会で一部の野党が大騒ぎし、一部メディアがそれを煽っている「2,000万円不足問題」について。騙されないようご注意ください。
事の発端は、金融庁の金融審議会 市場ワーキング・グループが6/3に公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」。一部の野党が(参議院選挙対策と思われるが)過剰反応。あたかも「国民全員が老後に2,000万円不足」かのような表現で大騒ぎし、TV等の一部メディアは連日、不正確な報道を繰り返しています。某TV番組のコメンテーターなどは「若い世代は年金が貰えないことに気付いた」などと根拠のないコメントで視聴者の不安を煽っていました。
今回の騒ぎと報道には根本的な誤認があり、近いうちに盛り下がると思います。その理由は、
- 先ず、この報告書は実に良くまとめられていますが、FPの世界では既知の内容であり、今更驚くような内容ではありません。
- 次に、一部の野党が問題視する「2000万円不足」とは、報告書の別紙1の21頁の3行部分だけを抜き出しているだけですが、資料全体を読むと、対象者の条件を絞り込んだうえで「不足額は単純計算で1,300万円〜2,000万円」としており、しかもその対象者には年金生活突入時に平均2,000万円以上の貯蓄があるとしています。即ち、何の問題もない対象者に対して、その一部のみ抜き出して大騒ぎしているだけに過ぎません。
- そもそも、日本の公的年金制度は世代間扶養方式。現在支給されている年金は現役世代が支払っています。そういう制度なので、年金受給者の生活費すべて賄う額であるはずがありません。
最も基本かつ大切なことは、老後の生活費は、公的年金+自助努力(労働や貯金を取り崩す)で暮らすものだと言うこと。自営業の方(国民年金しか加入できない)ならなおさらです。だからこそこの報告書で、資産寿命を伸ばそうと提案しているのです。
TV等はなぜ、この最も基本かつ大事なことをはっきり伝えないのか。それを言ったら視聴率が下がるからですね。先ずはご自身で報告書に目を通し、自身の老後に当てはめてみる事をオススメします。残念な一部野党や残念なマスコミの話を鵜呑みにせず、自らの目で確かめましょう。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html