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消費生活問題

楽天の送料無料は効果を見せるか

今日のネタは、楽天市場が導入検討中の送料無料施策についての所感。

インターネットショッピングモールの楽天市場が、一定額以上の商品購入なら送料無料にする施策(以下、「送料無料」と表現)を検討中。これに対して公正取引委員会は、優越的な立場を利用して不当な要求をした独占禁止法違反の疑いがあるとして立ち入り検査に入りました。
ECサイトのAmazonが実施している送料無料が、なぜ楽天市場では違法と疑われるのか?。それは、Amazonの無料対象商品は自身の在庫なのに、楽天市場のそれは自身の在庫ではないから。楽天市場は、各ネット商店主に場所を貸しているだけにもかかわらず、勝手に送料無料と宣言しようとしているからです。当然、独占禁止法違反の疑いが出ます。
楽天(三木谷社長)がそこまでして送料無料にこだわるのは、このままではAmazonに駆逐されるという危機感でしょう。しかし、この対抗策だけでは不十分で、勝算は低いと思います。Amazonのビジネスモデルは、自身が唯一の中間流通となり、システムを駆使して流通コストを極限まで減らしている事。それに対して楽天市場は、地方の小さな商店を救う為、ネット上に市場を開いたものなので、楽天市場上の各店舗の流通コスト削減には限界があります。実際、楽天市場が検討している送料無料になるための「一定金額」とは、Amazonのそれに及びません。しかもAmazonにはプライムという制度があり、別途年会費を払えば購入金額にかかわらず送料が完全無料です。
三木谷社長が楽天市場を立ち上げた創業理念は、地方の小さな商店でもネットショップで儲けて欲しいというものだったはず。三木谷社長が現在、ネット店主に対して「私を信じて欲しい」と訴える姿は、心の叫びだと信じたいですが、であればなおさら、この施策だけでは不十分だと思います。もう一段のブレイクスルーを期待します。

 

作成者: Takahiro

きくちたかひろ
消費生活アドバイザー&ファイナンシャルプランナー&宅地建物取引士。「賢い消費者」を応援する各種お役立ち情報を、趣味の街歩きや資格情報も織り交ぜて発信しています。なお相談対応は、紹介のある方に限らせていただいています。