今日のネタは、適格消費者団体が提起した民事裁判で却下判決が出た話。消費者は消費者力をつけることが大切です。
適格消費者団体の消費者機構日本が、株式会社ONE MESSAGE等を提訴していたもの。被告会社等は暗号資産で誰でも、簡単・確実に多額の利益が得られるとした手法を紹介した「仮想通貨バイブルDVD5巻セット」を販売していました。東京地方裁判所は14日、本請求を却下する判決を言い渡しました。被告会社等の問題点は認めたものの、適格消費者団体の訴訟要件である「支配性」を充していないのが棄却理由です。
即ち「誰でも、簡単・確実に多額の利益が得られる」商材なんてあるわけなく、それを購入する被害者も被害者である。その騙された事情は被害者によって様々であり、適格消費者団体の提起する裁判にそぐわないので訴えを却下する(消費者裁判手続特例法第3条第4項)というもの。(ここは私なりの表現です。)
原告側にとっては厳しい判決であり、控訴を含めて検討中とのこと。しかし、被害者によって事情が様々(法律用語で支配性がないといいます)である以上、法に照らして裁判所がこうした判決に至ったのも理解できます。その基本的考え方は「消費者は守られる存在ではなく、自立すべき存在である」というもの。「簡単に騙されてしまう消費者の方にも問題がある(法律用語で過失相殺といいます)」という訳です。一方で、それでは何のための消費者団体訴訟制度なのかという問題もあり、この話の判断の難しさは正にそこにあります。
今回騙された被害者(消費者)の皆さんは本当にお気の毒です。私たち消費者がなるべく騙されず、なるべく訴訟のような手間のかかる事態に巻き込まれないためには、先ずは消費者力をつけることが大切です。その最初の一歩が「誰でも、簡単・確実に多額の利益が得られる」商材なんて存在しないこと。「必ず儲かる」商材も存在しません。あなたのお住まいの地区の消費生活センター等に足を運んでみましょう。様々な啓発資料が置いてあるはずです。それに目を通すだけでも消費者力がつきますよ。
http://www.coj.gr.jp/trial/topic_210514_01.html