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酒・食事

パーフェクト・ギムレット

今日のネタは、パーフェクト・ギムレットの話。ハードボイルド小説風文章でお届けします。

ジンとコーディアル・ライム・ジュース(ローズ)を半分ずつ、他には何も入れない。

ギムレットの標準的レシピは、ドライ・ジンを3/4、フレッシュ・ライム・ジュースを1/4、これをシェイクする。バーテンダーによってはシロップを少し加え、味に深みを出すこともある。だからこそ様々なギムレットに出逢える。
ところで初期のギムレットは、ジンとローズ社のコーディアル・ライム・ジュースを半分ずつ入れたものだったようだ。レイモンド・チャンドラーの小説 *1 にもこのことが登場する。主人公の私立探偵フィリップ・マーロウは酒なら何でも良いが、友人テリー・レノックスは酒にはこだわりがあり、このレシピがお気に入りである。
残念ながら日本では、ローズ社のコーディアル・ライム・ジュースが輸入販売されておらず、パーフェクト・ギムレットを味わうことは難しい。特別なバーを除いて。
出逢いは突然めぐってきた。行きつけの店でバーテンダーと世間話をしていたら、それがあると言う。馴染み客から海外旅行土産としてもらったものだそうだ。長年通っていてバーテンダーの腕の良さは分かっていたので、先ずは標準レシピのパーフェクト・ギムレットを作ってもらった。甘味付きライムジュースが特徴の飲みやすいカクテルだ。2杯目は小説の割合で作ってもらった。こちらはジンが負けてまるでソフトドリンクのようだ。
小説は楽しむものであり、カクテルブックではない。当たり前のことに気づき、店を出るのであった。(訪問日3/24)

*1 出典:早川書房「長いお別れ。レイモンド・チャンドラー著、清水俊二訳。