今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和5年度の問9です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 9】 Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約が令和5年7月1日に締結された場合の甲建物の修繕に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 甲建物の修繕が必要であることを、Aが知ったにもかかわらず、Aが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。
- 甲建物の修繕が必要である場合において、BがAに修繕が必要である旨を通知したにもかかわらず、Aが必要な修繕を直ちにしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。
- Bの責めに帰すべき事由によって甲建物の修繕が必要となった場合は、Aは甲建物を修繕する義務を負わない。
- 甲建物の修繕が必要である場合において、急迫の事情があるときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。
解説 民法(賃貸借)
- ◯ 正しい。 民法第607条の2(賃借人による修繕):賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。 第1号:賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。 第2号:急迫の事情があるとき。
- × 誤り。サービス問題。「直ちに」部分が誤りで、正しくは「相当の期間内に」です。「修繕を直ちにする」なんて常識で考えて無理があるので、この肢が誤りであることは容易に想像できます。 民法第607条の2(賃借人による修繕)第1号を参照。
- ◯ 正しい。サービス問題。常識で考えれば分かりますよね。 民法第606条(賃貸人による修繕等)第1項:賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
- ◯ 正しい。これも常識で考えれば分かると思います。 民法第607条の2(賃借人による修繕)第2号を参照。
本問は、賃貸物の修繕義務からの出題。肢1と肢2が「対応時間の違い」について反対の事を言っており、しかも肢2がサービス問題だったので、本問の正統は容易だったと思います。