今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和6年度の問21です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 21】 農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1. 法第3条第1項の許可があったときは所有権が移転する旨の停止条件付売買契約を原因とする所有権移転の仮登記の申請を行う場合にも、農業委員会の許可が必要である。
2. 法第5条第1項の許可申請書の提出において、法ではその申請に係る権利の設定又は移転に関し民事調停法により調停が成立した場合など一定の場合を除き、当事者は連署した申請書を提出しなければならないとされている。
3. 法では、農地の賃貸借で期間の定めがあるものについては、一定の場合を除き、期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をしないと従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借したものとみなされる。
4. 法では、農地の賃貸借の当事者は、当該賃貸借の合意による解約が民事調停法による農事調停によって行われる場合など一定の場合を除き、知事の許可を受けなければ、当該賃貸借について、解除、解約の申入れ、合意解約、更新拒絶の通知をしてはならないとされている。
解説 農地法
1. × 誤り。「許可が必要」部分が誤りで、正しくは「許可が不要」です。この仮登記は、所有者が二重譲渡してしまい、農業委員会の許可後に別の者が先に権利登記してしまうのを防ぐという実務上の手段です。よって、農業委員会の許可前に仮登記を行う必要がありますが、同法にはこれに関する条文はありません。 法第3条の3(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出)を参照。
2. ◯ 正しい。法第5条(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)は、当事者の連署(売手と買手)が必要です。 法施行規則第57条の4(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動についての許可申請)第1項を参照。
3. ◯ 正しい。 法第17条(農地又は採草放牧地の賃貸借の更新)を参照。
4. ◯ 正しい。 法第18条(農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)第1項を参照。
農地法からは毎回1問出題されます。今回は難問で、肢1は規定にない応用問題、肢2も農地法条文には記載がなく、農地法施行規則からの出題だったので、正答できた受験者は少なかったかもしれません。正答できなかったとしても気にせず、次の問題に臨みましょう。