今日のネタは、宅建試験の過去問解説。令和7年度の問3です。(独自解説のため誤解説の場合はご容赦ください。)
【問 3】 意思表示に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
ア. 表意者が真意でないことを知ってした意思表示は無効であるが、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知らなければ、知らないことにつき過失があっても、当該意思表示は有効となる。
イ. 相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効であり、第三者がその虚偽表示につき善意であっても、過失があれば、当該第三者にその無効を対抗することができる。
ウ. 意思表示は、当該意思表示に対応する意思を欠く錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、無効であるが、その錯誤につき善意でかつ過失がない第三者には、その無効を対抗することができない。
エ. 詐欺による意思表示は取り消すことができるが、その詐欺につき善意でかつ過失がない取消し前の第三者には、その取消しを対抗することができない。
1. 一つ
2. 二つ
3. 三つ
4. 四つ
解説 民法(意思表示)
ア. × 誤り。「無効」部分が誤りで、正しくは「原則有効」です。 民法第93条(心裡留保)を参照。
イ. × 誤り。「過失があれば…無効を対抗できる」部分が誤りです。通謀虚偽表示は無効であり、善意の第三者に対抗することができず、第三者の過失の有無は問いません。民法第94条(虚偽表示)第2項を参照。
ウ. × 誤り。「無効」部分が誤りで、正しくは「取消しできる」です。 民法第95条(錯誤)を参照。 民法改正(2020年4月)により、錯誤による意思表示は「無効」から「重要なものは5年以内なら取消し可能」にかわりました。改正前から暗記していた受験者は、記憶のアップデートを心がけましょう。
エ. ◯ 正しい。民法第96条(詐欺又は強迫)第3項を参照。
よって、誤っているものは三つなので、正解は3です。
意思表示からの出題でかつ個数問題という難問でした。しっかり勉強していて本問を正答できた受験者は、合格に近づいていると思います。

