今日のネタは「勝手に買物アドバイス」シリーズ。第20回は、太陽光発電システム。
ここでは住宅用(10kW未満)について説明し、事業用(10kW以上)については触れません。
太陽光発電システムは、太陽電池(太陽光パネル)で太陽光を電気に変換し、周辺機器で商用電源(AC100V等)に変換するシステム製品。電気料金を安くし余剰電力を売って儲けることが主目的で、しかも高額な初期費用や維持費用がかかるので、家電製品というよりも投資商品と捉えた方が適切です。
同システムが普及し始めたきっかけは、東日本大震災(2011年)。政府は2009年に施行した「太陽光発電の余剰電力買取制度」を、2012に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」に移行。買取価格を電気料金の2倍近くに設定し導入補助金も出したことで、導入家屋が急増。販売保守事業者も乱立しました。しかしFIT契約期間(10年)が終了するころには様々な問題が表面化。具体的には、晴天率が低い地域で採算が取れない。FITの買取単価が下落し採算が取れない。再エネ賦課金(買取価格と電気料金の差額を未導入家屋から徴収)の不公平感。販売保守事業者の倒産が相次ぎ保守点検ができない。太陽光パネル廃棄に関する法律が未整備、等々。投資商品なのに採算性が怪しくなっています。
そこで同システムは、昨今の電気料金高騰に伴い、売電するよりも自家消費した方が得になる家屋の場合に限り、初期費用+保守費用の回収年数が現実的であれば導入する意味がある製品になっています。
なお「初期費用が0円ソーラーサービス」と称する事業者サービスがありますが、これは要注意。サービス概要は、太陽光発電システムの導入費用0円&保守点検費用0円で、契約期間(10〜20年)満了後は住宅所有者にシステム一式が無償譲渡されるというものですが、契約内容によっては、初期費用は0円だけと実はローンやリースで後から分割払いだったり、保守点検は無料だが修理費用は有料だったり、無償譲渡された「老朽化したシステム」のその後の修理費用や廃棄費用は住宅所有者が負担するというデメリットもあり、慎重な収支検討が必要です。事業者の収益源は同システムの売電価格なので、住宅所有者が初期費用と保守費用を一括自己負担する場合よりも、住宅所有者の収益が低下することを承知しておきましょう。さらには、次世代太陽電池(ペロブスカイト太陽電池等)が近い将来、より安価で実用化される可能性があり、現状のシリコン結晶型太陽光発電パネルを用いたシステムの導入は慎重な検討が必要です。
※画像はイメージ(Microsoft Designerで制作)
※2025/9/18 7:56 推敲しました。